モンテッソーリ教育の始まり
近ごろ、「モンテッソーリ教育」という言葉をよく聞くようになりました。
モンテッソーリ教育というのは、イタリアの教育者であるマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法のことです。
1870年8月31日に生まれた彼女は、イタリア人では初の女性医師としてもよく知られており、女性差別が激しかった当時は仕事もなかなか見つからなかったと言われています。
ようやくのことで仕事を得たローマ大学付属の精神病院で、マリア・モンテッソーリは知的障害の幼児たちの行動に目を留めるようになります。
指先を動かすおもちゃを幼児に与えて感覚を刺激すると、知的障害のある幼児でも知能が向上することに彼女は気が付きます。
しかも、知能テストを行ったところ、健常時を上回る結果が得られ、当時の教育界に大きな影響を与えました。
マリアは知的障害のある幼児に施した感覚教育法を、ローマの貧困家庭の子供たちにも実践し、知能を向上させる成果を得ました。
この方法をさらに研究するために医師の仕事を辞めたマリアは、ローマ大学に再入学します。
モンテッソーリ教育とは
マリアが感覚教育法を実践した保育施設が「子どもの家」と呼ばれていたことから、モンテッソーリ教育を行う施設は同じく「子どもの家(Casa dei bambini)」と呼ばれるようになります。
子どもというのは、歩くこと教えようとしなくても、自分から歩こうとするなど、自発的に成長していくものです。
子どもには、自分を育てる力が備わっているという前提がモンテッソーリ教育の基本です。
100年以上も前に考案されたモンテッソーリ教育は、現在でも110ヶ国以上の国々で実践されています。
教育学はもとより、大脳生理学や心理学などの面でもモンテッソーリ教育の理論は証明されており、国によっては小学校から大学までモンテッソーリ教育が取り入れられているところもあります。
日本においては、小学校以上の義務教育ではモンテッソーリ教育をカリキュラムに取り入れることが難しいため、主に小学校入学前の乳幼児に対してモンテッソーリ教育が施されています。
モンテッソーリ教育の内容
モンテッソーリ教育においては、小学校入学前の乳幼児を0歳から3歳までと、4歳から6歳までの2つに分けて考えます。
0歳から3歳までは「吸収する精神(無意識)」の時期と呼ばれており、粗大運動や微細運動、言語教育、感覚教育などが行われます。
3歳から6歳までは「意識の芽生え」の時期と呼ばれており、日常生活の練習や言語教育、算数教育、文化教育などが行われます。
歩いたり、洗濯をしたり、あるいははさみでものを切ったりというような、実生活に密着した運動をコントロールすることを身につける時期です。