「結婚のタイミング」、「子どもが生まれたタイミング」、「引っ越ししたタイミング」などなど、マイホームを購入しようとするタイミングは人それぞれです。人生で一番高い買い物になるかもしれないマイホームですが、できるだけ費用を抑えていい家を建てたいと考えている方は借地権付き物件も検討してみてはいかがでしょうか?
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借地権付き物件とは
「借地権」という言葉はあまり聞き馴染のない言葉かもしれません。建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権と借地借家法第2条1号で定義されています。ここではもう少し分かりやすくかみ砕いて説明すると、他人の土地に自分の建物を建てられる権利のことで、地主さんに土地の一部を借りてそこにマイホームを建てることを指します。
借地権付き建物を購入するメリット
地主さんに土地を借りるために様々な取り決めを交わさなければなりませんが、その上で借地権付き物件のメリットについてまとめました。
初期費用を抑えたうえでマイホームが手に入る
借地権を購入することで、初期費用をわりかし抑えたうえでマイホームが手に入ります。その土地があるエリアや地主によって価格の設定は異なりますが、所有権付きの建物と比較した場合、割安でマイホームが建てられるため、土地購入の費用をカットできます。借地権のみの購入であれば、土地全体の金額の6割から8割程度の価格になっていることがほとんどです。
長期間借りられる
期限付きの建物ではありますが、更新可能な借地権であれば、正当な理由による地主からの更新拒否がない限り土地を長期間借りられます。借地人が「土地を借りたい」と更新の意思を示すと、その期間は延長されます。正当な理由がない限り、地主はこの希望を断ることはできません。更新がない定期借地権は最低期間が50年なので、一世代で住むには適した条件でもあります。
借地権付き建物を購入するデメリット
借地権付き物件は費用を抑えられるという最大のメリットがあることを紹介してきましたが、あくまでも地主さんへ借りているため制約があることも知っておきましょう。
毎月地代の支払いが発生する
たとえマイホームであっても土地は借りているため、毎月地代を支払わなければいけません。年間の支払い額はおおよそ固定資産税の3~5倍程度と言われています。
固定資産税額で地代に差が生じるため、土地の価値が低いエリアであれば地代は安い額で収まりますし、反対に都心部の土地であれば、それなりに地代も高くなるでしょう。ただし、明確な基準は定められていないため、地主と交渉をするのも一つの手です。
建物のリフォームを行う場合は地主の許可が必要
地代を支払っているからと、建物を好きに扱って良いわけではありません。借地権の契約では使用用途が細かく決められているぶん、リフォームはその契約から逸れた内容になる可能性が高いと言われています。
もし、地主への相談なしでリフォームを行った場合、契約違反に該当するだけでなく、土地に何かしらの不都合を与えかねません。そのため、地主への別途支払いが発生するケースもあります。
借地権付き建物は売却も可能だが…

借地権付き物件を契約してしまったら一生そこで住み続けないといけないかといえばそうではありません。借地権付き物件は売却も可能なのです。
「ライフスタイルが変わった」、「急きょ引越ししなければならなくなった」、「実家を不動産相続することになった」などの理由で借地権付き建物を手放したい。
建物を地主に売却する場合は、地主に借地権を買い取ってもらうかたちとなり、借地契約がその時点で終了となります。ただし、借地権付建物を売却するには地主の承諾を得なければなりません。通常、土地の賃貸借契約の期間は30年以上と長期間にわたります。土地を長い間使ってくれる・コンスタントに賃料を支払ってくれるという面を見込んで、土地を貸しているため、地主の承諾が必要となるのです。
借地権に特化した不動産会社に相談を
しかし、「地主から地代の値上げを言われた」「建て替えを希望しているが承諾してもらえない」「売却の承諾を得られない」といった悩みが生じる可能性があります。この場合、地主と直接相談をしても解決に至るまでには難しいかもしれません。もし借地権付き建物の売却を希望する場合は、借地権や底地に特化した不動産会社に相談し、地主とのトラブルを避けたうえで円滑に解消しましょう。
<参考>
借地権の売却・売買・譲渡|株式会社マーキュリー
借地権付き物件は契約期間が長きにわたっていると先に言いましたが、その間に地主さんが他の人に変わったり、相続されていたりしてお互いどういう人となりの人と借地権契約をしているのか、知らないといってことも起こるのです。そうしたある意味特殊な物件のため一般的な不動産会社ではなかなか取り扱ってもらえないでしょう。ですから借地権に特化した不動産会社を見つけ、相談することをおすすめいたします。